グレン・シラルディ(心理学者)は、思いやりとは、他者の苦しみへの思いであり、助けたいという願いだといいます。すべての人々の価値と願いを見つめる、普遍的でわけへだてしない愛の形です。また、マチウ・リカール(チベット仏教僧)によれば、本物の利他主義者とは、生きとし生けるものすべてに対して、親が感じると同じ親密さで心を配る人をいうのだそうです。
そして、研究によると、西欧では、本物の利他主義者は全体の約15パーセントで、その利他主義は人格的特徴の延長だとか。これほど厳しい条件だと、ほとんどいないように感じられてしまうのですが、15パーセントもいるんですね。私はたまに病院に見舞いに行って、いいことをしたなと自己満足するのですが、こういうのは「思いやり」のうちに入りません。
( ̄Д ̄;;
災害被害者への寄付、ボランティア活動、あるいは稀なケースですが、マザー・テレサのように全人生を苦しむ人たちに捧げること。このようなことは一部の人にしかできないのでしょうか。できるとしても、どうしたらできるようになるのでしょうか。
スーザン・クラバチャーは、以前、「プレイボーイ」誌のモデルでした。チャンスが訪れたのは、17歳のときでした。
「私の子供時代は本当に恐ろしかった」。祖父から性的虐待を受け、それにより母親が精神衰弱に陥ったとき、彼女は里親に預けられました。しかし、3番目の里親が暴力をふるったため、仕方なく自宅に戻ることになります。
「16歳で学校を退学し、仕事を始めたの。弟が私のところに引っ越してきたけど、自殺してしまった。でも17歳でチャンスが訪れ、1万5千ドルで『プレイボーイ』の誌面に登場したの」。
「そのお金は、それまでの人生を考えると夢みたいな金額だったわ。『プレイボーイ』の高級アパートに住んで、10年間はめちゃくちゃに遊び呆けたの。でも心はすさんでいたわ。アメリカで人気ナンバーワンのイカした男と結婚したけれど、彼はいま監獄入りよ」。
「彼がアスペンの通りで逮捕された後、私は寝る場所を確保するために、民家のドアを叩いて、料理、掃除、ベビーシッター何でもしますから泊めてください、と頼んで回ったけれど、だれも家に入れてくれなかった。…次の日、また寝るところを求めてあちこちさまよっていたら、車いすに座った両足の麻痺した婦人に会い、その人の家で1年暮らすことになったの」
その後、スーザンは、救援基金財団を設立します。アスペン、コロラド、配置に拠点を設け、ハイチでは3か所で合計二万三千人の子供を養育する孤児院を運営しています。「一番目の孤児院は養子縁組をまつ子供、二番目は出産時に亡くなったか、母親に見捨てられた子供、三番目は障害や不治の病をもつ子供のために建てたの。これが心から私がやりたかったこと」
「子供たちをとても愛しているわ。でもハイチの孤児院に来るたびに、またいつ会えるか分からないと考えてしまう。…そんな時、支えになってくれる詩を思い出すの。『神よ、人の痛みを私の魂で感じさせてください。そして、私を知恵で満たし、光をさんさんと注いでください』」
こうした慈善の行為は、簡単にはできないことのように感じられます。そんなお金はない。自分のことだけで大変なのに。そう考えてしまいますよね。ただ、マチウ・リカールは、利他的な愛や慈悲心は、年月をかけて磨かれる技術であるといいます。やはり、小さなことで十分なので、意識的に続けていくことが大切なのかもしれません。
心理学者ソニア・リュボミルスキーは、いくつかのグループに、1週間、意識的に親切な行為をしてもらうという実験を行いました。すると、実験の参加者たちは、以前よりもっと健康的で充実した生活を送ることができるようになりました。そして、もっとも効果が上がったのは、毎回違った種類の親切をしたグループと、特定の1日に親切な行動を集中して行ったグループでした。
また、スタンフォード大学の心理学者ジニー・ツァイは、思いやりの心を起こす瞑想の力を研究しています。決定的な結論は出ていないそうですが、仏教的瞑想が他と比べても慈悲を深めるといいます。こうした瞑想を継続的に行うことで、ストレスを減らしたり、人間関係を円満なものにする助けになると思います。そこで、「いい人にはいいことが起こる」(スティーブン・ポスト/ジル・ナイマーク)、「ハーバードの人生を変える授業」(タル・ベン・シャハー)から、慈悲の瞑想をご紹介します。
①あなた自身から始める
リラックスした状態で楽に座ってください。完全にリラックスして、ゆっくり吸って吐く呼吸を始めます。リラクゼーションの波と、体に降り注ぐ平和をイメージします。意識をあなたの心に向けましょう。どんな感情をそこに見つけたとしても、あなたのスタート地点はそこになります。では、何の偏見を持たずに自分のことを良く思ってください。自分の幸せと、苦痛からの解放を願うのです。
②他の人と一体になる
自分の人生の苦難の原因を考えて、他の人が同じ病気や問題で苦しんでいるとイメージします。たぶん多くの人はあなたより苦しんでいるでしょう。あなた同様に、他の人たちも苦難から解放されたいのです。温かく優しい心が湧き起こるまで、あなたの他の人が結ばれるように想像します。具体的には、次のようにイメージします。「あなたは、彼らの苦しみを受け止め、それを解消するために行動を始めました。そして、彼らの苦しみが解決されました。彼らはあなたに心から感謝しています。他の人の嬉しそうな反応と、自分自身の感情をじっくりと味わいます。そして、全身全霊で彼らを幸福の光で包んであげるのです。
③心の温かさと愛の思いを外に広げる
次に、今後、人との関わりの中でできることを考えてみます。友人にアイデアを教えてあげることや、子どもに本を読んであげること、支援している団体に寄付すること。そうした思いやりの行動がもたらす深い幸福感を体感してみます。次に、あったことのない人、苦しんでいる人を想像して、すべての見知らぬ人に愛を広げてみます。
④すべての創造物に愛を広げる
人だけでなく、動物や植物にまで愛を広げます。次のようなフレーズが瞑想に役立ちます。「生きとし生けるものが幸せでありますように。探し求める癒しが見つかりますように。生きとし生けるものの願いが叶いますように。生きとし生けるものに悟りの光が表われますように」
「自分以外の人たちも自分と同じか、それよりひどい苦しみに喘いでいる。どのようにしたら、その人たちが苦しみから解放されるだろうか。そのように考えてみることで、生きとし生けるものすべてと結びつくことは、結果として、自分の苦しみをコントロールすることになるのである」-マチウ・リカール(チベット仏教僧)
「心の内側を見つめ、瞑想の習慣を忘れず、精神的指導者の教えを繰り返し繰り返し思い起こした。そして、因果の法則と世の無常を熟慮し、憎しみ、貪欲、思いやりの欠如がもたらす破滅的な結果をはっきりと意識し続けた」- アニ・パチェン(チベット仏教尼僧-中国当局の弾圧により、21年間の投獄生活を余儀なくされた)

ツイッターでは、古今の名言を日本語訳して流しています。
トップページへ
最近のコメント